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米大統領戦の差はキャッチコピー? 力強く、シンプルで、具体的に!

米国大統領選が終わり、ドナルド・トランプ氏が次期大統領として選出されました。

下馬評を覆してのトランプ氏の勝利の理由は、きっといろいろとあるんでしょうが、キャッチコピーの質の差も大きいのではないでしょうか。

Make America Great Again!

「偉大なるアメリカを取り戻す!」

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トランプと言えば、これ! というくらい、有名なフレーズですね。MakeもAmericaもGreatもAgainもどれも響きが強くて、一語一語が突き刺さってきます。

そして、全体としての文章は、何をするかが非常に明確です。偉大なるアメリカを取り戻す。それはそれ以外の意味を持ちえず、誰も誤解のしようがなく、また、善良なるアメリカ国民にとってマイナスのはずがない。

まさに理想的なキャッチコピーです。辣腕の経営者トランプが、大国アメリカをどの方向に導こうとしているのか、はっきりとわかります。

それに対して、ヒラリー・クリントンはと言うと

Stronger Together

「団結し、強くなろう」

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なんだか、曖昧なんですよね。

団結するのは、アメリカ国民なのか、アメリカ同盟国なのか、世界中のことなのか。誰をさすのか。

たぶん、ヒラリー陣営としては、その全てを包含していて、あらゆるクラスタでの一致団結を訴えたいのでしょう。アメリカ以外の、世界中に対しても使える秀逸な言い回しです。

しかし、それゆえに、曖昧な表現になってしまっているんですよね。

誰が、団結し、何を、強くするのか。

確かに、主語と目的語を切り替えて、いろいろな表現ができます。演説で使いやすい言葉でしょう。しかし、あまりにも抽象的すぎるため、言葉として訴えかけるものが弱いんですよね。

で、ヒラリーは何がしたいの?

これがアメリカ国民の印象ではないでしょうか。

トランプの力強くわかりやすい「Make America Great Again」には届かないですよね、これは。

日本でもシンプルなキャッチフレーズは重要

日本では、やはり「アベノミクス」でしょう。この造語に、安倍首相はかなり救われています。

この言葉だけで、安倍政権は「経済政策を頑張ります!」というアピールができていて、さらに、「アベノ」という言葉のおかげで、経済回復(実際にしているかどうかは別として)の兆しがあると、安倍首相の手腕のように感じられます。

少し前にさかのぼると、小泉首相の「聖域なき構造改革」「構造改革なくして景気回復なし」なども、非常に秀逸なキャッチコピーですね。

断固、立ち向かう男、小泉純一郎というのが力強く立ち上がります。今まで誰もやらなかったことを、俺はやるんだ! という感覚が、国民の心情に突き刺さるようではありませんか。

何をするのか、が明確になっている言葉が、政治家のキャッチコピーには大事なのでしょう。

もちろん、失敗したフレーズも

安倍首相が選挙で使っていた「日本を、取り戻す!」という言葉は滑っていましたね。

これ、面白いな、と思うんですよね。

言っていることは「Make America Great Again」と変わらないんですけど、この言葉はどうも、しまりがないです。異なる言語による響きの違い、というのがあるのでしょうか。

パワーワードがない、というのはありそうです。「聖域なき構造改革」なら「聖域なき」とかの部分ですね。非常に力強い、文章を強固にするワードです。

「Make America Great Again」の場合、明らかにGreatが強いです。そして、そのGreatによって文章の方向性が決定されています。アメリカを、どこに導くのか。

日本を、取り戻す! だと、どんな日本を、取り戻したいのか、よくわからないんですよね。戦前なのか、バブル期なのか、高度経済成長期なのか。曖昧です。どんな、の部分にパワーワードをぶち込めれば、いいフレーズになったかもしれませんね。

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