【映画】攻殻機動隊を見てきた。サイバーパンク+ネオジャパンを楽しむ作品。
映画の攻殻機動隊を見てきました。
攻殻機動隊と言えば、一世を風靡したマトリックスの監督も大きく影響を受けたと公言するほどの有名作品です。
パソコンが一般ではない時代に、時代を先取りした超ネットワーク社会の世界観を構築したセンスがすごいですよね。
作中で使われている単語は今も色褪せず、たしかに未来にそういう世界があるかもしれない、といまだ思わせる存在感は目をみはるものがあります。
さて、日本の作品はハリウッド映画化されると、欧米人たちの押しの強さのせいか、魔改造されがちです。
カルト的な人気を誇る攻殻機動隊すらそうなってしまうのか、ならいのか、とても興味があります。
ストーリーは非常にオーソドックス
ストーリーとしては以下のような感じに展開します。
- 主人公のミラ(草薙素子と呼ばれてはいないが当人)が全身義体化して生まれる
- それから一年後、立派に公安9課のエースになったミラ
- 彼女は相棒のバトーとともに、頻発するアンドロイドのハッキングテロ事件の調査に乗り出す。
- なんとか主犯の男を追い詰めるも、その口から語られたのはミラの出自への謎と、生み出した機関の暗部。
- 混乱するミラの疑心は義体の研究機関へと向けられる――
話としては、わりとオーソドックスなミステリ/サスペンスで、何度も追い詰められながら、事件の核心に迫っていきます。
手堅い作りなのですが、手堅すぎるのでしょうか、引きが弱いんですよね。淡々と事件が進行していて、それを傍観している感じ。おそらく、予定調和の展開すぎて、意外性に欠けるからでしょう。
そもそも、主人公のミラが捕まりすぎです。2時間弱の上映時間の間に三回も拘束されています。本来ならピンチ・シチュエーションのバリエーションとして、アイディアを絞るところでしょうが、監督はそこに時間を使うのを良しとしなかったようです。
ただ、思うにこの作品でストーリーはあまり重要ではない(描きたいものではない)のでしょう。
彼らが描きたいものは、その世界観と、それをどう映像に落とし込むのか、という点です。
サイバーパンク+ネオジャパンの世界観
その独特な映像が、この映画の個性です。
冒頭の、芸者ロボが登場するシーンからカットんでいます。
白く塗られた顔のど真ん中、目鼻口のパーツを囲むように赤い円が描かれています。まさに日の丸ペイント。
それはマジでやっているのか!?
こんなシーン記憶に無いので、映画オリジナルだと思うんですが。
なんでしょう、これは日本の国旗へのリスペクトかなんかでしょうか?
いや、別にいいんですが。ただ、度肝を抜かれただけです(笑)
ぶっ飛んだ映像感性は舞台となる都市全体に広がっています。
治安の悪い薄汚れた未来都市、それがサイバーパンクのテンプレです。
それに「外国人の考えた、アジアンテイストの混じった(かなりズレた)NIPPON文化」が融合した世界観になっています。
監督は芸者さんが大好きなようで、冒頭だけではなく街のあちこちに姿を見せます。
というか、巨大立体広告とも言うべき、高層ビルと同じくらいの高さのホログラフィが街の至る所にあり、その巨大映像の多くが芸者だったりします。
お前、どんだけ芸者が好きなんだ!
そんな巨大な芸者が映像として映し出されている街。もう、その時点で圧倒的にクレイジーです。
おそらく、監督が描きたかったのは、この絵なんだろうな、と思います。ストーリーとかによる引きなんてどうでもいいのです。攻殻機動隊のサイバーパンクな世界観に、おそらくリスペクトとして自分の考えるJAPANの伝統を練り込み、近未来都市ネオジャパンの映像として爆誕させる。
それが監督のしたかったことです。
そして、その狙いは確かに形となっていて、映像の独創性は中々のものと言えます。もちろん、間違ったアジアンテイストジャパンの描写だけではなく、攻殻機動隊としての、義体の描画もなかなか凝っています。こっちのほうは、ごりごりのザ・サイバーパンク! といった感じです。
すっげー映像だなー、世界観だなーと思ってみるものでしょうね、この作品は。そういう意味では、原作のテイストに近いものがあるかもしれません。
日本の原作作品を題材にすると、何かと暴走しがちなハリウッド作品ですが、攻殻機動隊に関しては、わりと常識的な振れ幅に収まっているのではないでしょうか。