おにメモ

SIerを辞めてフリーランスになったシステムエンジニアのブログ。

【映画】弐瓶勉原作「BLAME!」を観賞。日本のCGアニメも凄いです。

BLAMEという映画を見てきました。

blame.jp

BLAMEは「シドニアの騎士」で有名なマンガ家「弐瓶勉」さんの作品です。

私自身は原作者のファンというわけでもなく

  • 私>映画「ブレイム」のチケットをください。
  • スタッフ>「ブラム」のチケットですね。

と訂正されるレベルの、熱烈なファンからすれば論外な認識です。シドニアの騎士もマンガを少し読んだことがあるだけで、アニメは未視聴です。

そんな無知な人間による、前情報も信者ブーストもないノーマルな感想を書いてみようと思います。

とりえあず全体としてはどうなのよ?

面白かったです!

フルCGによる映像の独自性も素晴らしいですが、それ以外の部分もよくできています。

まず、世界観がいいですよね、

無限に増殖する都市が暴走を始めて、ネットワークに接続できなくなった人類を排斥(殺害)する、というハードな世界観。

その世界観には数多くの専門用語が散りばめられているのですが、順番に少しずつ、ビジュアルを伴って開示されていくので、事前知識なしでも、その独特な世界観をすんなり理解できます。

無骨な鉄で組み上げられた都市の映像は、まるでFF7に出てくる魔晄都市のようで、ストライク世代の私に刺さります(笑)

で、世界観を理解したところで出てくるのが主人公「霧亥(キリイ)」。

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おそろしく無口で何を考えているかよくわからない男で、鬼強い拳銃を持っています。

その男の自己紹介が「人間だ」です。

なのに、目がセンサーになっていてぴこぴこと電子表示が走って視界に映る人たちを分析しているんですね(笑)

いや、人間じゃない! 人間じゃない!

って観客がツッコみを入れる瞬間です。でも、そこではたと気がつくんですね。

え、人間じゃないとしたら、こいつ何なの?

ここまでくると、物語から目を離せなくなります。いやー、計算尽くしの展開。確か、シドニアの騎士でも主人公の出自が特殊だったと思うのですが、このあたりは弐瓶勉さんの語りのテクなのかもしれません。

CGアニメの完成度はどれほど?

日本製フルCGアニメは、ファイナルファンタジーのアドベンドチルドレン以来です(古っ!!)。

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いやー、技術の進歩に驚きましたね。

普通のアニメと比べて、まったく違和感がありません。

厳密には

  • たまにキャラクターの動きが「軽すぎる」感じがする
  • CGすぎる部分が強くて、手書きじゃないんだな、と感じる部分がある

という感じなのですが、別に見苦しいわけじゃない。それはこの作品の個性であり、エッジであり、特徴なんですよね。

これこそが、CG化の流れに対する、ジャパニメーションの正しい回答です。

CGアニメというと、現状アメリカのピクサースタイルが優勢です。デフォルメしたフィギュアのようなキャラを動かす感じのあれですね。

あれはあれでキャラクターをいきいきと描いていて素晴らしい手法なのですが、ジャパニメーションを支えるセル画とはやっぱり別物なんですよね。ジャパニメーションの進化の系図にあるわけではなく、別のルートで進化したもの、というか。

ジャパニメーションを見て育った世代としては、今までジャパニメーションが積み上げたものの先を見せてほしかったのです。

その見たかった未来が、まさにBLAMEで結実しています。

最新のCGアニメ事情に興味があるなら、この作品はおすすめです。

ストーリーはどうなの?

もちろん、CGだけではありません。物語もすっきりまとまっていて、そつがありません(残念ながら、原作未読のため、どれほど原作をなぞっているかは不明です)。

旅をしている霧亥(キリイ)がとある集落を訪れるところから物語は始まります。

そこで拾ったロボ化した女科学者の残骸(かろうじて頭だけが残っている)がこう言うんですね。

「私を工場に連れていけば、ネットワークにアクセスして、暴走する都市を止めて平和を取り戻せる」

うまいなあ、と思うのは、この科学者が実に怪しいんですね(笑)。

本当のことを言っているように感じさせながらも、なんだか悪だくみをしていそうな空気もあって、ああ、もう、なんだよ! 気になる! となるわけです。

さらに最終決戦がいいんですよね。

村が大規模な襲撃を受けるわけですけど、別の場所で別のことをしようとしていた霧亥(キリイ)が敢然とした足取りで、迷いなく村に戻るんですよね。

無感情で無表情で無口な男が見せる、優しさですよ。

ここらへんからはキリイがカッコよすぎです。村を容赦なく焼き払う上級セーフガードに、どんぴしゃのタイミングで助けにくるキリイ。村人たちのために戦う姿はまさにヒーロー。最高にカッコいいです。

最後にはきっちり熱いバトルも仕込んでいて、カタルシスを与えてくれます。

セルルックCGはアニメの未来に対するひとつの答え

こういうセル画らしく見えるCGアニメはセルルックCGというらしいです。セルルックCGでググるといろいろと情報が出てきます。

昔のCGアニメは「瞳」がどうしても人工物すぎて、目に光が入っていなかったんですよね。他は完璧だったんですけど。でも、キャラクターは目が命ですから、あまりにも致命的でした。

その「瞳」の問題も、完璧に処理されています。

もうCGとセルアニメの境界はほとんどなくなっていると言っていいでしょう。

CG時代に対応したジャパニメーションが、今後どのように発展していくのかすごく楽しみですね。