おにメモ

SIerを辞めてフリーランスになったシステムエンジニアのブログ。

衝撃ラストの鉄血のオルフェンズ。10の問題点をまとめてみた

まさかの主要キャラ全滅ENDという、Good Endが基本の昨今のアニメをあざ笑うかのような、衝撃的結末を迎えた鉄血のオルフェンズ。

作品に対する評価はもちろん賛否両論、どちらかというと否が多いかなという感じです。

自分も「否」の立場で、特に語ることもないかな、と思っていのたですが、オルフェンズ語りが細々と続いているようなので便乗してみることにします。

どちらかというとオルフェンズの結末というより、作品が当初から抱えていた脚本的な問題が気になっているので、それをまとめておこうというスタンスです。

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ミカ強すぎ問題

脚本的に最も致命的だな、と思ったのは、ミカヅキ・オーガスがあまりにも強すぎることです。正直、MSと同化したアインとMA戦くらいしか苦戦していた記憶がありません。

無双感がありすぎるのでほとんどの敵がザコとなってしまい、戦闘に緊迫感がありません。これは戦闘が基本となるガンダム系ではかなり厳しい制約です。

せめてワンパンマンのように、ワンパンで終わらせるまでの展開に工夫があればそれでいいんですけど、そういうアイディアも特になかったです。

苦戦することなく、ひたすらミカが小言を言いながら相手をボコる展開になりがちだったので、戦闘シーンで盛り上げるのが難しい設定でした。

カルタをどうしてああした問題

第一期で悲劇のキャラと言えば、カルタ・イシューです。マクギリスのことが密かに好きだったのに、最後はマクギリスに裏切られて謀殺されてしまいます。

なんてかわいそう!

という展開にしたいわけですけど、カルタの顔が。

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麻呂!?

これはないなーと思うわけです。しかも、日頃の言動も勘違いした騎士道精神を全面に押し出した寒いもので、そりゃ、ミカにボコられても文句は言えないよなあ、という感じです。

もっと普通の顔立ちで、自己表現の苦手な可憐な女性だったらマッキーの裏切りも相当の破壊力を誇ったでしょうが、この外見とおかしな言動では、ちょっと同情が難しいですね。

マクギリス頭悪すぎ問題

あちこちで言われていることで、わざわざ取り上げるのもなんなのですが、マクギリスの頭が悪すぎます。

マッキー>ガンダム・バエルに乗れば、セブン・スターズは俺のものだ!

マッキー>ガンダム・バエルに乗ったぞ! 俺こそが正当後継者だ!

セブンスターズ>え? なんで?

もはや喜劇です。そりゃ、創始者の乗っていたガンダムに乗ったからって、後継者として認められるわけないですよね。

それまで陰謀キャラでいろいろと画策しているような印象のマッキーですが、計画の根幹部分でとんでもな判断をしている辺りが、なんとも言えません。

挙句の果てには「このガンダム・バエル一機でピンチを逆転してみせる!」という、もはや作戦ですらない自暴自棄な特攻を開始し、ガエリオにボコられて敗北します。

直前の前哨戦でガエリオに押されていたのも忘れてバエル一機で逆転勝ちとか、想像力がなさすぎではないでしょうか。

ガンダムバエルの性能が謎すぎ問題

いや、いいのです。

マッキーが己の命を賭してガンダム・バエルで特攻しても。問題は、そこにそれをするだけの説得力があるかどうかです。

つまり、ガンダム・バエルがいかに圧倒的か、ということ。その描写をする話が一話でも欲しかったです。

セブンスターズの創始者が乗っていた、という設定以外は特になく、どれほど強いのか、というのもわかりませんでした。

正直、ガンダム・バエルについては説明も描写も足りなすぎて、マッキーの意図に対する説得力がないんですよね。

MAが何のために出てきたのか不明問題

MA戦は面白かったです。みんなで知恵を出し合って、必死に詰将棋して、それをイオク様が全てぶっ壊す(笑)。MAも非常に強く、見ごたえがありました。

単品のエピソードとしては悪くないのですが、このエピソード、別に抹消しても後続の物語に影響ないんですよね。それがいただけないです。

何のために、あれだけの話数を使ってMAの話を描いたのか謎です。

せめて追い詰められたマッキーが最後にMAを復活させて反撃に出るとか展開でもあれば、おお、あの強いMAならできるかも! と強力な引きになるのですが、それもなく。

せめて語るのなら、一発屋のMAじゃなくて、ガンダム・バエルの凄さなんじゃないのか、と思うわけです。

ガンダムバルバトス内に取り込まれるミカの伏線問題

アイン戦で右半身を、MA戦で左下半身をバルバトスに取り込またミカ。

自分の体を崩壊させながらも、全力以上の力を出す姿は、いつの時代も男の子のあこがれです。

この設定自体は追い詰められている感じがあって、なかなか良いと思います。

だけど、どうしてMA戦以降は何も起こらなかったのでしょう? そんな設定あったっけ、というくらいの放置っぷり。おまけにミカヅキがバルバトスにつながったまま生活を始めたので、動けなくなるデメリットも薄れていたりします。

この展開であるならば、やはりクライマックスでミカヅキの全身が取り込まれる寸前まで行くのが王道でしょう。

お約束展開を外した、というのは悪くないですけど、外すのならそれ以上の展開を想像の斜め上に叩きつけて欲しかったですね。

ダーインスレイブ強すぎ問題

語る必要なし(笑)。

いや、もうガンダムいらないよね、これ。

オルガがマクギリスを売ろうとした問題

この対応は微妙だなーと思いましたね。オルガがマッキーをひげのおじさまに売ろうとしたのは。オルガの株が爆下げした、というか。

確かにマッキーは敗色濃厚です。ただ、別にマッキーは鉄華団をだましてもいないし、それなりに対価も約束していました。それに乗ったのは鉄華団の判断であり、意志です。

リアルな考え方としては、仲間を守るためにマッキーを売る、というのは正しいです。でも、これアニメですからね。主人公レベルのキャラには常に公明正大で威風堂々としていてほしいわけです。

結局、そこで日和った上に、地球に逃げて戸籍を書き換える、というスケールの小さな話になっていくんですよね。。。

ひげのおじさま善人化問題

一番、残念だったのはこれですね。ひげのおじさまことラスタルがラストでいきなり善人になって、鉄華団の望む世界を叶えてくれたことでしょう。

何のために、鉄華団はラスタルたちと敵対して戦ってきたのか、死んでいった意義すら吹き飛ぶ展開です。

別に全滅END自体は、私はありだと思っています。ただそれは、その後の世界に爪痕を残してこそだと思います。

今回ならば、ラスタルが鉄華団の健闘ぶりを見て、火星の人間にも可能性を持つ人間はいるのだな、と考え直して変節したのなら、死ぬことに意味もあるでしょう。でも、そういう描写は特にありません。

これなら、ラスタルがより苛烈な圧政を敷いて、クーデリアが鉄華団の意志をついで(言論によって)戦う決意をするような終わりのほうが、まだ全滅に意味があったんじゃないか、とすら思います。

たなぼたで望みを叶えられても、それは勝ち取ったものではないのです。

これはガンダムだったのか?

ガンダムって少年たちの成長というのがテーマとしてあると思うんですけど、ミカもオルガも考え方が固まりすぎていて、成長の余地が無いんですよね。ある意味、見事なほど変わらないというか。

平成ガンダムにガンダムっぽさを求めるなよ、という話もありますが、本作は別に「銀河任侠伝オルフェンズ」でも、別に良かったよなと思うわけです。

イオク様の悪人化はなかなかよかった

問題の列挙は手前で終了。ここはポジティブ意見。ネガティブ意見だけだとあれなので。

イオク様の闇化はすごく良かったです。ただのカルタ・イシューの焼き直しキャラかと思っていたら、いい感じにクソ野郎成分が増し増しになって。ネットでイオク様を殺せコールが起こったとき、製作者はガッツポーズをしたことでしょう。

だからこそ、それ以降、しばらく蟄居状態だったのは残念でしたね。

どうせなら、ラスタルが追い詰められた鉄華団を見逃そうとしたりする展開にして、それじゃぬるい! と激昂したイオク様がラスタルを暗殺して、指揮権を奪うくらいクソ野郎を極め尽くしたラスボスへと変貌すれば、少なくともイオク様だけは後世に語り継がれる神キャラになれたでしょうね。